小さな頃からいつも一緒で、


これからもずっとずっと一緒だって思ってた。













でもやっぱり進路は違ってしまうわけで、




晋助と同じなのは高校まで。






















これからはお互い別々の道を歩んでゆくことになる。




































































まだ咲ききらない桜が、寂しさを一層強くする。


周りではぐすぐすと鼻を啜る音や、大勢の笑い声







私はそんな中誰かの輪に入る事もなく、一人大きな桜の木下に立っていた







































「おい、挨拶してこねぇでいいのかよ」





















一枚一枚散る花弁をただ眺めていると、横から声がかかる


少し顔を動かせば嫌に成る程好きなあいつ






















「だって、別にすぐ会えるもん」




「でも礼儀ってもんがあんだろ」




「晋助にも礼儀ってものあるんだ?」




「殴るぞテメー」






















晋助はそう言って眉を顰めるが実際に私を殴ったりはしない



わかってる。



晋助のことは、多分晋助の親ぐらいわかってるつもり



























「会えなくなるのは・・・・晋助だけだよ」




「・・・・・」



























私がそう言うと晋助は気まずそうに顔を逸らした




































数ヶ月前突然告げられた別れ。






















晋助は留学をする。


小さい頃から頭が良くて、それなりの所に行くとは思ってた。


でも私を残して他の国へ行ってしまうなんて考えても無くて、


最初聞いた時から少しの間、私は晋助を拒絶した













今は、頭では理解しているものの、


やっぱり心は思うようには動いてくれない









































「私、大学行ったら晋助よりかっこいい人見つけてやるんだから」




「・・・・・・」




「たっ、多分晋助の方がモテるから、彼女できるのは早いだろうけど・・・!」




「なァ・・・」




「そ、それに、ちょっかい出してくる奴がいなくなって清々す・・「























私が俯きながら早口で喋っていると、それを遮るように全身に他人の温もりが広がった


晋助が私を抱き締めていることは、数秒後に理解する








抱き締められたのは、初めてだった。



































「ちょっ、何すんの・・・っ!」




「待ってる、って選択肢はねぇのか?」




「ぇ・・・?」
























私は晋助の言葉に疑問符を浮かべた

































「俺が日本に帰ってくるまで、待ってることはできねぇのかってことだ」



「晋助・・・ちゃんと帰って来るの・・・?」



「たりめーだろバーカ。大学卒業したら帰ってくる。それに長い休みにもちゃんと帰ってくる」




















晋助はそう言うと「そんなこともわかってねーのか馬鹿女」と私の耳元で囁いた


その一言で、私の目からはポトポトとゆっくり涙が落ちる




























「なっなんで最初から言わないのさ馬鹿杉〜っ!」




「そんくらいわかってると思うだろ」




「も、もうずっと帰って来ないかと思って、たのにっ!」




「あーわかったわかった、俺が悪かった」


























ぎゅう、と晋助は抱き締める力を強くして私の肩に顔を埋めた


晋助のつけている香水の香りが私の鼻を掠める


























































私達は人の目も気にしないでその場でずっと抱き締め合った


暫くの別れを乗りきるために

















































***************



















































「いってらっしゃい、晋助」




「あぁ、浮気すんじゃねーぞ」




「晋助こそ、あっちの国いったら美人ばっかだからって私の事忘れないでよね」




「バーカ、俺は日本人っつか、お前にしか興味ねぇんだよ」





















色々なアナウンスが飛び交う中、私達は触れ合うだけのキスをした







































「電話もする」




「時差ちゃんと考えてね」




「俺のために起きろよ」




「俺様の言う事なんてききません〜」




















私はそう言うと右手を顔の辺りまで上げた





























「そろそろ行かなきゃ。じゃあ、またね」



「おう、またな」




















晋助も小さく手を上げてから私に背を向けて歩き出した


晋助が手を振るなんて似合わないな、なんて、今思う事じゃないだろうか














そんな事思っておきながら、自然と流れる涙。


私の頬に伝う一筋の涙は、晋助には秘密にしておこう。













































Start of long-distance love.

-数年後-
(なァ)
(ぇ、何ってえぇええええええ!?ぉおおおかえり晋助!)
(あぁただいま。また行くけどな。)
(ぇ、どどどどうしたの?;)
(お前どもり過ぎ。・・・言い忘れたこと会って戻って来たんだよ)
(ぇ、何・・・?)
(結婚してくれ)





みかげ様に勝手に捧げます!50000hitおめでとう御座います!